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アンダーカレントのwksgknchのレビュー・感想・評価

アンダーカレント(2023年製作の映画)
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アンダーカレントとは心の底流のこと。
原作は豊田徹也さんの漫画。
監督は今泉力哉、メインは真木よう子さん、井浦新さん、音楽は細野晴臣さん。

映画化を知り、漫画を読んでいたので大体あらすじは把握してるけど、
映像化されること、しかもそれが今泉力哉監督と期待値は高まる。
漫画をしっかり追っていくとそうなった、そうなる、とはいえ、142分はちと長くないか。。

本作の軸は銭湯を運営するかなえ(真木よう子)のもとに突然働きにきた堀(井浦新)との奇妙な生活が始まること。
もう1つの軸はかなえの夫で失踪した悟(永山瑛太)を探すこと。偶然出会った旧友から探偵を紹介してもらい、かなえが依頼主となり、悟を探す探偵の山崎(リリー・フランキー)とのやりとりが始まっていく。

今泉監督の作品は「愛がなんだ」「街の上で」を見ていますが、人と人、他者との関係性の描き方とそのやりとりに特徴があって(少しコミカル)、やはりその雰囲気は感じるが、本作では笑い要素が少なかった、それは原作のトーンから推し量ったのかもしれない。
特に堀はほとんど台詞が無く、それを演じるというのはとても大変だろうな、顔や身振り、相手との関係、間でしか表現できないわけで。

かなえが冒頭から見せる夢や、ある騒動からかなえ自身にトラウマがあることがわかっていくことと、同時に悟の過去もわかってくる、かなえが内と外の両極で疲弊していく、真実に迫ることは必ずしも良いことではないかもしれないわけです。

悟が嘘をついていくことで自分がわからなくなる、という吐露はまあ自分勝手としか思えないし、変えようとも思わないので、かなえが許すしかないのだけど、釈然としなかった、なんかかなえが損してる。

銭湯、川べりの散歩、湖、海、とおよそ思いつく水にまつわる舞台が登場し、かなえの夢にも登場する。

ラストの微妙な距離感、何か決断したというよりはやっぱり関係は変わらないのかな、という。それとももっと深い何かがあるのか、という余韻を残す、続いているよ、と語りかけてくるような。
良い意味でもやもやさせてくれます。
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