悪魔の毒々クチビル

Ivanna(原題)の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

Ivanna(原題)(2022年製作の映画)
3.8
「頭を返せ!!」

かつて日本軍に殺害されたオランダ人の怨霊に襲われるお話。

インドネシアのホラー映画です。
監督はイコ・ウワイスことイコさん主演の「ヘッドショット」なんかでお馴染みキモ・スタンボエル。
アマプラで英語字幕だけど視聴可能だってことをフォロワーさんのレビューで知り、どれどれと。
まず字幕に関してなんだけど、結構シンプルな内容なので普段から輸入盤を購入している方は勿論、「英語字幕で映画観てみようかな」と思っている人にもぴったりだと思います。ホラー苦手な人は除くけど。
劇中頻繁に出てくる"Eid"なんかは、イスラム教の祝日なので詳しくは調べないと分かりませんが、取り敢えず祝日なんだろうなっていうのは察せるのでまぁ大丈夫かなと。

内容も心霊ホラーとしての気味の悪さやたまに出てくるアグレッシブなゴアシーン等、中々良い出来でした。
主人公の少女アンバーは弱視?って事で合ってるかな。周りはぼんやりとしか見えませんがかつて眼の手術をした結果、霊的な存在まで見えるようになったようです。
こんな感じの設定のホラーってちょいちょい見掛けるけど、例えが全然浮かばないでござる。

一応うっかりあの家に入って箱を持ち出したからついでに首無し彫像と化した霊も付いて来たってことなんだろうけど、そんなガチガチに封印されていた感じでもなかったし何十年も取り敢えず座っていたんですかね。
この彫像が事あるごとに居なくなったり座ったままかと思いきや一瞬立ち上がっていたりと、ベタなんだけど劇中の薄暗くてじめじめした照明や雰囲気もあってか普通に怖い。
実際襲うとなると毎回首を引っこ抜くので、ワンパターンではありますが要所にゴアを挿入するのもキモ・スタンボエル的ですよね。
流れ作業的に毎回首を引っこ抜くかと思いきや、たまに「ほれほれ~」と抜いた首をアンバー達に見せ付ける一面も。

アンバーの弱視設定を持ち味に、視聴者にも視界が安定しない中での恐怖演出でガッツリびびらせてくるのかと思いきや、最初の犠牲者が出てから皆警戒するようになったので単独行動をせず集団でいるようにするという、正しいけどある意味で定番から外れた展開になっていたのであまりそういったシーンが無かったです。
あと「こいつ絶対死ぬ要員だな、ほら死ぬぞ」と思いきや全然そんなことなかったりと、地味にキャラの活躍に少しだけ意外性がありました。
あと回想シーンに出てくる日本軍に殺されたオランダ人のお姉さんが思いの外日本語上手かったです。

突き抜けて良かった所が無かった反面、雰囲気と演出で乗り切る魅力はありましたし中々良い作品でした。