これが本当の個人映画。冒頭に「KIRIYA PICTURES」って出てきて笑ってしまった。いや、でも、全部ひとりでやらないと、こういう変な映画は作れないなと思った。よくも悪くも変。
だって夏木マリが湯婆婆と同じ髪型で出てくるんですよ。
紀里谷和明のFUCK THE WORLD的お気持ちにはまあ共感できるところがなくもないのだが、後半がしっちゃかめっちゃかすぎる。どうにもできないので台詞でガシガシ説明しはじめたり、突然『インターステラー』っぽい冨永愛が出てきたりするのも、いびつだなあ。
まあ歪なんてこと言いはじめたら、世界の運命が伊東蒼演じる主人公によって左右される、という設定がそもそも……なのだが、このエゴセントリックな「セカイ」観が、クリエイター紀里谷和明らしさか。めちゃくちゃ異様なんだけど、異様な思想をちゃんと一本の映画作品に昇華させられるのはえらいもんだと思う。