松原慶太

ノランムン:韓国シネフィル・ダイアリーの松原慶太のレビュー・感想・評価

3.2
'90年代初頭、学生時代にポン・ジュノたちが所属していた、映画サークル「ノランムン」(黄色いドアの意)。そのご映画産業に従事することになった者もいるが、大部分は他の分野へと進んだ。

彼らが語る、ノランムンのなりたちから解散までの日々を描いたドキュメンタリー。ポンジュノの、8mmの超初期作とかも登場するが、ある種の青春ドキュメントとしてじんわりとくる。

当時、ビデオが普及し始め、韓国でも有名無名の映画サークルが立ち上がったらしい。そのなかでもノランムンは「草野球」的なサークルだったとか。

海外のアート系映画を違法コピーしたものを皆んなで鑑賞したり、ポスト構造主義とか記号論の勉強会をしたりしてたらしい。

いまではいい歳になった大人たちが、そういえばこういうこともあった、ああいうこともあったと、笑いながら話しているようすが羨ましい。

僕もそういえば、ソシュールとかロラン・バルトとか意味もわからず読書会していたなと(そしてそれらはその後の人生に全く役立っていないなと)懐かし恥ずかしく思い出した。

ああいうポカーンと開けた、何の役にも立たない時間というのが、人生においてときに必要なんだろう。
松原慶太

松原慶太