湯呑

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4.7
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』しかり『ソウ』しかり、インパクトのあるネタを使った作品ほど、続編を成功させるのは難しい。どうしても求められるハードルは上がってしまうし、その期待に応えられないと二番煎じの謗りは免れない。
全てがPC上の画面で展開するというとんでもないアイデアで映画を成立させてしまった前作を受けての続編、手の内は全て晒した上でどの様な物語を新たに作り出せるのか、その期待に本作は見事に応えているのではないか。
父親が愛娘を探すという前作の構造を反転し、子供が母親を探す物語へと変更した事が、実はデジタルデバイスを駆使した誘拐サスペンスをアップデートする役割も果たしている様だ。前作の父親も確かにPCを駆使して娘の居所を探っていった訳だが、それから5年を隔てた本作ではZ世代の少女が探偵役を務める。彼女は「おっさん、チンタラやってんじゃねーよ!」と前作の主人公のケツを蹴っ飛ばす勢いでPCとスマホを恐ろしい速さで操作し、それに伴い前作以上のスピードでスクリーンは目まぐるしく移り変わり、次々と新たな情報を映し出していく。前作と続編でここまで世代の違いを浮き立たせる作品も珍しいだろう。その捜査方法の斬新さに対して、最後に描かれる親子の愛情はいかにも旧態依然としたもので、もう少し工夫が欲しかった気もするが、Face Timeの使い方もよく分からない母親と娘がデジタルデバイスを通じて心を通わせる、というのがいかにも今らしい、と言えるのもしれない。
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