よしまる

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3.8
 前作からもう5年も経ってるとは!

よしまる2023年洋画ランキング第12位は、斬新なビジュアルと発想で度肝を抜いた「サーチ」の第2作。

 題材が題材だけに、飽きられずに新しいこと考えるのって大変そう、、しかも実はコロナもあったせいかデジタル周りはそんなに劇的な変化は訪れていない。
ただ、zoomやキャッシュレス決済、スマート家電など、既存の技術が一気に浸透した感はある。

そんな中、新作にぶち込んできたのはデジタルネイティブなZ世代の視点。これは意表をつかれたし、まず拍手👏

前作では進化するIT技術に振り回されるお父さんが娘を探すサーチ。観ている自分も一緒になってネットの海を右往左往するのが新鮮で面白かった。

はたして今作は、娘が母親をサーチ。このZ世代は前作とは正反対にデジタルを駆使、自国以外の情報までキャッチして現地スタッフまで雇うグローバルっぷり笑

例えば前作が「慣れないゲームをやらされて四苦八苦しているお父さん」だとしたら、今作は「ちょっと貸してと言われて交代した娘の鮮やかな手さばきを目を丸くして感心して見ているお父さん」という感じだ(伝わって!)

すべてがモニタ上で展開される縛りもキッチリと守られており、必然的に「固定カメラ」「音声や文字情報のみもあり」「カメラ目線」という、バラエティならいざ知らず映画では御法度とも言われるシチュエーションを無理なくクリアしているのはほんとにすごい。

さらに素晴らしいのは防犯カメラからSiriに至るまで、ただITを使って表現してますよ、ではなくて、ちゃんとストーリーに組み込んで成立させていること。逆に言うと、それがないと成り立たない話としてめちゃくちゃ説得力が生まれているのだ。

話の内容としては何を言ってもネタバレるので言い難いのだけれど、自分の母親の足取りが不思議なほど掴めない、弁護士が親身になってくれる、とっくに死んだ父親の影がやたら濃い、そうした??にちゃんと理由があり、整合性を持って謎解きに向かうのもお見事。

アイデア1発ではなくて、そしてツールをただ持ち込むのではなくて、練り込まれた脚本こそが映画を面白くするのだというお手本のような作品だった。

最初に、この5年あまりデジタル世界は動いていないと書いたけれど、実はこの1、2年は急に革新が進んでいる。chatGPIなどのAI技術、NFTへの注目、ARやVRの進化も止まらないし、なんなら次作はバーチャル世界でクローンやらレプリカントみたいなのがワサワサしてるとこから特定の人を探し出すという苦行がお父さんを待ち受けているかもしれない。