akrutm

ジョーンについてのakrutmのレビュー・感想・評価

ジョーンについて(2022年製作の映画)
3.6
若い頃に激しく恋した男性と街角で偶然に出会ったことで、今までの自由奔放な人生を振り返る初老の女性ジョーンを描いた、ローラン・ラリヴィエール監督のドラマ映画。本作は第72回(2022)ベルリン国際映画祭で上映され、主演のイザベル・ユペールが金熊名誉賞を受賞した。

とにかく映画の中心はジョーンという女性。彼女の若い頃のダブリンでの恋人、両親(特に自由奔放な母親)、編集者として担当するドイツ人の作家、そして一人息子などとの関係を通じて、彼女の人生を回想という形式で描いていく。20代のジョーンはフレイア・メーバーというスコットランド出身の女優が演じているが、それ以降の年代のジョーンはすべてイザベル・ユペールが演じている。これにはちょっと違和感を感じながら見ていたが、実はこれが重要な意味を持つことになるどんでん返しが、映画の最後に訪れる。そもそも、掏摸の男性に恋して一緒に掏摸を行うというプロットも気に入らなかったが、そういう不自然さにも意味を見出すことができる、虚実の区別が曖昧になる結論は、なかなか洒落ていると言えるだろう。

・間違った解釈の日本文化が出てくるのも見どころか。北斎の春画『蛸と海女』も出てくる。
・ジョーンの若い頃の恋人ダグの現在と昔を演じた俳優が似てなさすぎ。
akrutm

akrutm