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Lift/リフトのLCのレビュー・感想・評価

Lift/リフト(2024年製作の映画)
3.8
面白かった。

少しハラハラするけれど、痛みは与えてこないので、耐性ない人でも大丈夫かも。

計画の必要性も、実行内容も、それぞれの役割も見せてくれる。そのことで、見ている私も自然とチームの内側に居るような感覚になる。
そうすると、まんまと「上手くやってくれ、あああフォローが要るぜ、やべえ頼むわ、私はソファの上から動けない」となっていく。そういうハラハラ。
何より本作の好きな点は、この「自分もチームの中にいる」感覚を失望に繋がなかったところ。

自分の命を、たったひとつの命ではあるけれど、そのたったひとつのものを切り捨てない姿勢って、本当に見失うことがあるが故に尊く思える。多くの命の為なら、捨てても仕方がない命がある、というメッセージは、今だって世界の中に簡単に見つけられたりするから。
戦地に行かない人が他者に命のやり取りをさせる構図って、どこまで現役で採用され続けていくんだろう。敵対している命のみならず、己の側に所属する命だって、書類上の数字として扱う。それを美しさと言って憚らない人も、まだたくさんいる。
大義や正義の為なんだ、と説明したかった人を、思いっきりはったおす姿に救われる気持ちが、確かにある。

題名でもある「 Lift 」という言葉は、ある面から対象を持ち上げる意味で使われてきたのだけれど、歴史の中で、持ち上げる対象が物だけではなく人の気持ちも含めるようになった。つまり、「励ます」という意味で使われることもある。
また、元々は Lyft という、空気を意味する古い言葉から派生していたりして、この言葉は勿論「空」を含むようになった。
空を舞台に物を地面から上方へ動かし、かつ人の気持ちも掬い上げる、本作にしっくりくる題名だったんだなと感じる。
作中「盗む」という意味でも触れることができる言葉だけれど、対象を他者に気付かれずに地面から空へ上げられたら、後で気付いた者には紛れもなくかっぱらわれたように見えるわけで、この使い方も結構昔からあったりする。気付かれないように見えないところへ移動させるイメージに繋がるんだね。

ボスの顔真似をしてみせる場面が結構好き。本作だけじゃなく違う作品でもちょこちょこ見てきた表情が蘇って、思わず笑ってしまう。
お茶目な仲間に囲まれるって、それだけでも楽しい時間が増えそう。まあその、ウザい瞬間もたくさんあるかもしれないけれど。
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