Masato

ペイン・ハスラーズのMasatoのレビュー・感想・評価

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)
4.1

アメリカで問題となっているオピオイド危機の裏側を一人の女性の栄枯盛衰を通して描く実話ベースの犯罪ドラマ。

批評的にもユーザー評価もあまり高くない本作ですが、この手の実話ベースの栄枯盛衰映画はとても好みなのでものすごく楽しめました。また、アメリカの過剰処方問題のオピオイド危機の裏側について知れたことも満足。キャストの演技力も言わずもがな素晴らしくて良かった。

ドラッグにも用いられるフェンタニルを使った鎮痛剤を強引な手法で売り込み、勢いづいてしまった会社はそこからどんどんと不正を働くように…。人の命を考えずにカネに目が眩んで医師も製薬会社も人を殺してしまう。信用格付け会社に接待をして格付けを高くして証券を売り込んだサブプライムローン危機も彷彿とさせた。末端にいる人のことを考えずにただ私腹を肥やした結果、社会に多大な悪影響を及ぼす一例。

資本主義の弊害とも言うべきか、資本主義である限り絶対に起きてしまう犯罪。それを象徴するのが主人公ライザ。夫にすべてを奪われてその日暮らしだった彼女は、リッチになってリスペクトされたいという欲求が暴走させていく。ある意味資本主義の被害者とも言える。経済格差の下にある人間を加害者にし被害者にしていく社会システムの闇をコミカルに描いたものとして良作。

エミリー・ブラントとアンディ・ガルシアの演技が素晴らしかった。エミリー・ブラントのシーンを見て役者って本当に凄いと何度も思った。ナイブズ・アウトのようなクリエヴァのクズ演技も見事。

デヴィッド・イェーツ、ハリポタでしか印象ないけど、流石大作作ってきただけあっていい映画作る。
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