モンブラン

サイド バイ サイド 隣にいる人のモンブランのレビュー・感想・評価

4.5
人の思いが見える不思議な力を持つ青年と彼を巡る人々の物語。揺れ動く世界感や描写を味わい、その中でそれぞれに解釈し何かが心に残っていく作品でした。
個人的には、人が想い合う事、側に居られる時間の安らぎや豊かさ、めぐり逢いの縁や誰もが何かの機会となりうる循環、自然の持つ力強さの中で口下手な彼らの静かなる再生などに強く惹かれます。

何度見ても新たな気付きや惹かれる場面が変わる、内面に染み込む作品です。

2回目の感想
未山、草鹿、莉子がより多層的な人物像に映り、情を感じる。場面場面で行動やセリフの心情表現、意味、変化などに気付いて。余白がどんどん埋まっていき、あっという間のラストとなりました。解釈や想像を深める時間がとても楽しめ、明暗関係なく好きなシーンもさらに増えました🫰ぜひリピートおすすめです

一回目の感想
事実なのか心理描写なのか、また比喩的であったり対比的であったりするシーンが散りばめられ、自分なりの解釈を持ちながら楽しめられて美しく面白い作品でした。
冒頭から惹きつける主要四人のキャスト陣の陰陽の美しさ、それぞれの存在感、距離感が醸し出す空気が素晴らしく、魅力的なキャラクターとなり物語の説得力となる。
優しい色彩から、時に薄暗く、時に光り輝き、かと思えば暗く荒く重苦しく、それから静かに闇から光へ、贅沢なほどゆったりと豊かに。

不思議な力がもたらす状況は淡々と描かれ、時に少しシュールな場面に見えるけれど、これまでも人の思いをこんな風に受け入れてきたのだろうか、と彼の来し方や心象が感じられる描かれ方で、不気味では無く神秘性とミステリアスな雰囲気がとても良い。
それにしても、人の思いを受け止め続けてきた彼はシンドくないのだろうか‥あの自宅としている古い蔵の中で、一人空(くう)となり思いを流しているのだろうか。
各々の少し描かれた過去から今に至る過ごしてきた時間に思いを馳せます。