橋本スパゲッティ

サイド バイ サイド 隣にいる人の橋本スパゲッティのレビュー・感想・評価

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点数つけれません。これは分からない。でも好き。

事前にキャストの皆様から「余白の多い映画」というのは聞いていたので覚悟を決めて見に行きました。
うん。めちゃくちゃ多い。
セリフも極限まで削ぎ落として無駄な部分なし。音楽もチャラチャラしたJPOPをバックで流すのではなくて自然音で穴埋め。
雨の音、人物の息遣い、足音等が”余白”と呼ぶには大きすぎる間を埋めていく。
ストーリーは分からない部分が多く、「分からない」に惹かれる人以外は多分飽きると思う。寝る人もいるでしょ、絶対。
無音に耐えられない人とか序盤で寝たんじゃないですか?


ここから下は僕が『「分からない」に惹かれる無音に耐えれる人』という前提で話を進めますね。

個人的には自然音に彩られたこの作品はめちゃくちゃ好きです。ストーリーは難解だし、結局未山は何者だったのかも分からないし、未山の死(死んだよね?)が何を意味するのか(または意味があることなのか)すら分からないけど、こじつけに近い考察でもしてみようかと思います。

1番思ったのがキャストの方々の演技。
すごく自然。一つ一つの役がキャストにハマりすぎている。凄く自然というか、本当に”演技”なのか一瞬疑ってしまうくらい。

・クールで滲み出る優しさが人を惹き付ける未山と坂口健太郎
・クールで儚い美しさを持ちながらも優しく笑いかけてくれる齋藤飛鳥と莉子
・明るく振る舞い、陽気な優しさを持つ詩織と市川実日子
・好奇心旺盛で無邪気な子供(磯村アメリ)

劇中の登場人物と、それぞれを演じるキャストの僕の中でのイメージが合いすぎていてとても自然に見えた。
これもひとつの魅力として見ていいのではないだろうか。


あとは副題になっている「隣にいる人」。
前半はだいぶスピリチュアルな展開になっているが、何かを伝えようとしている人が生霊もしくは霊となって未山と美美にのみ形として見えている。
誰かの心に寄り添おうとしている人を「隣にいる人」とするとそれが見える未山が色んな人に優しく接していることは「隣にいたい人の代行」に見える。
なんてこじつけに近いことを考えていたのだが、後半は一転。
齋藤飛鳥演じる「莉子」が「隣にいる人」そのものになった。未山が「誰かの代わりに誰かの隣にいる存在」から「莉子を隣で支える人」に変わる展開は面白いと思った。守るために隣にいたのかどうかすら理解出来てないけど。


はい、オタクタイムです。
乃木坂46が好きです、と他の作品のレビューでも書いていますが何隠そう齋藤飛鳥が推しメンでした。
「あの頃キミを追いかけた」や「劇場版 映像研には手を出すな」などに出演している齋藤飛鳥ですが、今後女優活動をするのか不明です。もしかしたら彼女の演技を見るのはこれが最後かもしれないと思いながら見ました。あまりに儚い映画にちょっぴり寂しくなりましたね。
素晴らしい演技でした。お疲れ様。