ぶみ

宇宙人のあいつのぶみのレビュー・感想・評価

宇宙人のあいつ(2023年製作の映画)
3.0
家族になりすまして23年、ところが別れの日まで、あと3日!?

飯塚健監督、脚本、中村倫也、伊藤沙莉、日村勇紀、柄本時生等の共演によるコメディ。
真田家の四兄妹の次男になりすましていた宇宙人が、地球を離れることとなる姿を描く。
主人公となる真田家四兄妹の長男、夢二を日村、長女、想乃を伊藤、三男、詩文を柄本、そして実は宇宙人の次男、日出男を中村が演じているほか、細田善彦、平田貴之、山中聡等が登場、また声の出演で、井上和香、設楽統、山里亮太が名を連ねている。
物語は、高知の海辺で焼肉屋を営む夢二と、そこで働く日出男、クリーンセンターに勤め、DVの彼氏から離れられない想乃、過去の確執から復讐を受けるガソリンスタンド店員の詩文という個性強目の四兄妹を中心に展開、序盤、日出男から、実は人間の生態を調査するため土星から来た宇宙人だとカミングアウトされるところからスタートするが、SFテイストは皆無と言って良く、基本的にはライトなコメディとして進行していく。
また、四人それぞれにしっかりと時間が割かれており、ベタなエピソードばかりながら、気楽に観るにはちょうど良く、安易にビジュアルや下ネタに走らず、間合いや会話の妙で微妙な笑いをサラリとねじ込んでくるスタイルは好感が持てるところ。
途中から、そのSF設定は別として、両親を亡くし、一家の長として、また兄妹の親代わりとして長男が一家を引っ張っていくという内容は、既視感があるなと思っていたところ、気づいたのは、90年代の大ヒットドラマ『ひとつ屋根の下』に似ているということ。
そう考えると、日村が江口洋介、中村が福山雅治、伊藤が酒井法子、柄本がいしだ壱成に見えてきたのは私だけか。
また、全体的に黄砂が吹いているような黄緑がかった映像となっているのも、現代の話でありながら、現代ではない雰囲気を醸し出しているとともに、ロケ地が高知らしく沈下橋が登場していたのも見どころの一つ。
笑いにせよ、涙にせよ、全てが良い意味で軽く作られているとともに、飯テロ作品としても悪くなく、現代に蘇った『ひとつ屋根の下』に見えてきた一作。

サプライズが止まらない。
ぶみ

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