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レオのLCのレビュー・感想・評価

レオ(2023年製作の映画)
3.6
面白かった。

学校で飼われているトカゲさんが、死ぬ前に何かを残したいと思い、クラスの人たちと交流を重ねる物語。

ひょんなことから言葉を交わせると知られてしまうのだけれど、主人公は子どもたちの話にゆったりと耳を傾ける。
話が長くて飽きられてしまうけど止められない、そう打ち明けられれば、話すのは楽しいよね、それは相手も同じ、だから相手が楽しく話せるように質問してみたら、といった感じで、それぞれの子に寄り添いつつも、74年間教室を見守ってきた知見を活かして助言を旋律に乗せる。
ただ、話せることが公になることを恐れて、ひとりひとりに「君は特別だから」と説明するのだけれど、これが後に誤解を生むことになる。

本作、動物も人も機械も登場するが、みんなが救われる物語でとても優しい。
お金持ちで鼻につく子も、いじわるで乱暴な子も、他者の成功を妬んでしまう親友も、度を越す世話焼きで疎まれるドローンも、みんな自分の問題に向き合うし、みんなそれぞれに活躍する。その中には、幸福なんて久しく感じられないまま歳を重ねた大人も含まれる。

君は特別だ。君はいい子なんだ。
交流するひとりひとりにそう語る主人公は、ちょっと八方美人ぽいかもしれない。
でも、彼がそう信じてあたたかく伝えてくれたからこそ、聞く者は特別になれない自分に自信を持つことができた。
ひとりひとり違う存在で、それぞれに違う不安を抱えているのだけれど、彼らの力を引き出してみれば、確かにみんなが特別な魅力を持っている。
まず伝える者がそのこと信じていなければ、彼らは力を発揮できなかったろうと思う。
70年以上、色々な子をあたたかく見守ってきたからこそ、主人公の言葉は響くのだろうね。

学校の教室に居たおかげで、多少の知識は持っていた。
そんな主人公が、違う学年の教室に行けることになった時、「文字を学べる!」と喜ぶ姿には力をもらえる。
幾つになっても、新しいことを知ろうとする姿勢、新しい知識に出会える喜びは、忘れずに持ち続けることができるんだ。時間がある限り、遅いということはないのだと感じられる。

主人公のゴジラっぷりにはクスッとした。何分の1サイズになるんだろう、それでも妙な迫力があるものだねえ。驚いた時にかたまっちゃう姿もかわいい。
先生の火事場の身のこなしも素敵。普段はあまり動けなくても、命かかってる状況では何かが解除されたりするよね。
何より大きなバスでかっ飛ばす生徒は、そのままワイルドスピードとかでカースタントする道に行けたりするかなあと、未来を楽しみに思える。事故がなくて良かったよ。ワニさんたちにとっては事故だったかもしれないけれど。
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