連なる異常事態。いつどんな時でもネットで繋がる現代において、情報を遮断されることは大きな不安を煽るだろう。疑心暗鬼は周囲との不和となり、問題はどこまでも大きくなっていく。きっと人類はこの事態を解決する答えを持っていない。未だに起こり続けている戦争の一端でもあるだろう。情勢も相まって心が重くなるストーリーではある。
それにしても、異常事態における陰謀論者の描かれ方というのは、何故こうもウキウキしてしまうのだろう。日常の危機管理を鼻で笑っていた人々が、それを省みることなくほぼ一方的に頼ってくるのだ。どうやって折り合いをつけるのだろうかと前のめりになってしまう。
全体を通してカメラワークが面白く、「不穏感は音楽によって作られる」という個人的な思い込みが壊されたのが1番の収穫だった。
明確な原因や意図は語られないので、人によってはスッキリしないかもしれないが、個人的にはそこにリアリティがあってよかったと思う。
女性の前でのみ意味ありげな振る舞いをする動物や、フレンズに執着する子供など、まだ読み取れていない部分もいくつかあって、考察しがいのある作品なのも好感が持てる。
主人公のアマンダはジュリア・ロバーツの美貌を持ってしても不快な人なのだが、「人間が大嫌い」という主張だけは観る前と後で変わりなく賛同できる。だが人間嫌いになった原因がボヤかして語られるのは、アマンダを立体的にする上で良い手ではないように思う。私はアマンダを好きになりたかったみたいだ。