ヤスマサ

終わらない週末のヤスマサのレビュー・感想・評価

終わらない週末(2023年製作の映画)
3.7
週末を郊外の別荘で過ごす一家が、情報が遮断され孤立状態になると、次々に迫る不可解な状況に追い詰められるサイコスリラー。
一家が別荘にやってきたその夜、突然インターネットや電話が繋がらない状況になると、別荘のオーナーのG.H.(マハーシャラ・アリ)だと名乗る親子がやってきて、サイバー攻撃から逃れてきたと告げる。

サイバー攻撃とは、受けても混乱を招くばかりで、直ぐには恐怖感が湧かないのかも知れない。
序盤からサイバーテロの可能性を示唆するが、動物たちの行動や飛行機の相次ぐ墜落、森の小屋に人が潜んでいたような痕跡などに困惑するばかりで、映画を観ている側も何か超自然的な別の原因があるかのうように思ってしまう。
情報を得られないことで不安が広がり、疑心暗鬼にもなり、ついには常に怒っているようなアマンダ(ジュリア・ロバーツ)始め、夫のクレイ(イーサン・ホーク)、一家の人格さえ疑わしい。
しかしこれらは、エンディングを迎えると、既にある策略に落ちていたことが分かる。
映画を観ている我々もまた然り。
散見される、映像を回転させる撮影方法は、進む策略が次なる段階に変わったことを表したものなのかも知れない。
段階的に進む不安や閉塞感は、やがて新しい体制を欲するようになるという新世界秩序の陰謀論がある。
人種のるつぼと言われるアメリカは、ややもすれば足元を掬われやすい超大国だ。
プロデュースで参加しているオバマ元大統領こそ、その危機感と向き合ってきた人物だろう。
小さな不安が、やがて起きる崩壊の序章ならば、本当に怖いのは、この先の行方だ。
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