内容をまったく知らずに観たので、最後の最後まで宇宙人の侵略とかSF的なことばかり予想していたら、まったく違う本当に最悪の真相で、これ以上怖いホラーはないと驚愕した。自然にSFかなと思ってしまった理由は、いわずと知れたタンカーのシーンの異常さと共に、しっかり正装した立派な人物が玄関に訪ねて来て変なことに巻き込まれるという既視感のある絵面のせいだっただろう。それが2009年のSFスリラー『The Box』や、2019年のホラー『Us』を彷彿とさせた。これはジュリア・ロバーツ主演だが、『The Box』はキャメロン・ディアスだったし、『Us』は訪ねてくるのが黒人家族だったという共通項がある。いずれにせよ、絵面のほうはとても大掛かりで度肝を抜かれるスペクタクルな場面ばかりなのに、登場人物のやりとりは人間らしい自然な心理劇でもあって、それが人間的であればあるほどに、どんな想像をも超えた物語の真相のほうが重く重く迫ってくる。これは怖すぎる。
