クモにこんなに親しみを感じる映画もない。途中から可愛く見えてくる。毛が生えててモコモコしていて、目も可愛く見える。
設定がレトロな宇宙。
スペースマンの比喩。現代人の孤独。
人類史上最も物理的遠くに離れてしまう事が孤独の原因ではない。物理的距離が近くても遠くても、人は孤独になりうる。
宇宙飛行士という名誉ある仕事であろうとなかろうと、一人の女性からの視点で言えば知ったこっちゃない。
エイリアンという視点から見れば不合理である人間の感情。対話により、過去の記憶により、狭い視野から解き放たれる。
このエイリアンもまた、最後の生き残りとしての孤独を抱えている。そこで人とクモが共感による繋がりを持つ。
このクモは紫色の粒子が作り出したイマジナリーなものかもしれない。
紫色の粒子を取ってくるという人類初の偉業を投げ捨ててでも、クモとの友情、妻を取り戻したい気持ちが先行する。