すし酢高跳び

ナイアド ~その決意は海を越える~のすし酢高跳びのレビュー・感想・評価

3.9
Netflix にて鑑賞

ナイアド その決意は海を超える

あぁ、ダメだわー。私これどこを切り取っても泣きのツボ刺激されちゃうやつだったわぁ。

何この素晴らしいチャレンジ!!

もう最後の方なんて、凄すぎて何もかも泣ける。

ナイアドという名前は、ギリシャ神話に出てくる海の精霊。だから、水泳をすることは彼女にとっては運命。

ダイアナ・ナイアド(アネット・ベニング)は子供の頃から水泳をし、マラソンスイマーとして輝かしい成果を上げてきた。

私、カナヅチでして。水が大嫌い。
息を止めるって事が本当に苦手だし、なんなら水の中でも息したいんですが、このマラソンスイミングってのが、物凄く過酷。もう私からしたら拷問みたいな競技。

このマラソンスイミングとは、川とか湖、海の自然環境の中で行われる水泳競技のこと。
海峡とかを何十キロも泳ぎ渡ったりするもので、ダイアナは28歳の時に「水泳界のエベレスト」とも言われるキューバからフロリダまでの、何と180キロを泳ごうとチャレンジした事がある。

しかし、当時は潮の流れを読めず、何十キロも流された挙句、リタイアしてしまった過去がある。

そして、今ダイアナは60歳。
『周りが課した限界など、信じない』

その決意は強く、親友ボニー(ジョディ・フォスター)を巻き込み、そこからマラソンスイミングに必要な人材、スポンサーを集めていざ、キューバ!

と、簡単に言いますが、中々厳しい現実が次から次へと彼女達を襲うのです。

私はこの大きなチャレンジが成功するまでを描いていると思っていたので、最初のチャレンジで失敗した時、かなり衝撃でした。
え?これ何回もやったの?って。

天候を考えれば、渡れるチャンスは年に数日。チャレンジしても報酬も無い。

時々、自分勝手で『決めるのは私!私の人生の主役は私』と言い放つダイアナには、周りもうんざり。優越コンプレックスの塊だと非難してボニーは去ります。

4回失敗した時には、とうとうチームがバラバラになってしまうのですが、この時、離れたのが良かったのかもしれない。ダイアナはボニーを思い出し、ボニーもまた同じだった。

特に航海士のバートレット(リス・エヴァンス)がダイアナと電話で話すシーンが印象的だ。
あの海の日々が忘れられない。皆が一つになり、何故だか絶対にやれると信じた高揚感。

それが皆を、ダイアナを突き動かしたのだ。

限界を超えた時、幻覚を見たりトラウマに襲われたりしても、絶対に諦めない強い意志。

誰にも理解出来ないかもしれないし、共感し辛い人間性があるけど、それでも感動してしまうのは、やはり立ち向かう壁のデカさと、そこを乗り越えようとするダイアナが、私より遥かに歳上だと言う事もある。

先日、年齢がバラバラのお姉様達とランチした帰り道、1番歳上のお姉様が私に『じゅんちゃんなんて、私の子供でもおかしくない年齢なんだから、何だって出来るわよ!』と言った。

正直、私がこのセリフを子供達には言う事があっても、まさか自分が言われるなんて思いもよらなかった。だけど、それと同じように60代の彼女から見れば、40代の(ギリな)私は若く、時間も体力もあるのだ。

なんだかあの時言われた言葉と、勇気を貰えた事を思い出して、また涙が溢れた。

ナイアドにボニーを始めとする仲間がいたように、私にも支えてくれる友達がいる事を胸に、何かにチャレンジしてみたくなる、そんな素敵な作品でした。
すし酢高跳び

すし酢高跳び