へたれ

マエストロ:その音楽と愛とのへたれのレビュー・感想・評価

3.8
良かったとこ1 主演2人の演技力
脚本的に弱いシーンを2人の演技力の長回しで押し切るのは見応えあった。
キャリーマリガンは人物の肉付けがうまくて、単にバーンスタインの妻という枠にはまっていないのが良かった。特に中年以降の歳の取り方がうまい。
ブラッドリー・クーパーはまさに憑依芸で、マーラーの交響曲の指揮長回しなどは明らかに賞レースを狙っているようなシーンだけどそれでもやはり見ていて圧倒される。

良かったとこ2 技術面のほとんど
白黒とテクニカラーを組み合わせた撮影、場面転換がスムーズな編集、ブラッドリークーパーの顔の特殊メイク、オーケストラの音響と、どれも伝記映画としてかなりの高レベル。これらをバランスよく組み合わせたブラッドリー・クーパーの監督としての手腕も確かで、年代に合わせてドラマのタッチ自体を変えてくるのは見ていて飽きなかった。

ダメだったとこ 平板すぎる脚本
時系列にエピソードを並べているだけで、この映画を通じてレナード・バーンスタインという人物をどう描きたいのか全く定まっていない。彼を矛盾がある人物として描くつもりなのは、オープニングの字幕から分かるものの、それがストーリーとして発展しない。この映画を見終わっても結局彼がどういう人物なのか分からないままというのは、伝記映画の脚本としてはお粗末。
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