HAYATO

マエストロ:その音楽と愛とのHAYATOのレビュー・感想・評価

4.0
2023年491本目
Netflix Film
20世紀後半のクラシック音楽界をリードした偉大な音楽家・レナード・バーンスタインと、彼のことを誰よりも理解し愛した妻・フェリシアの波乱に満ちた人生を描いた伝記ドラマ
『アリー/スター誕生』のブラッドリー・クーパーが監督・脚本・主演を務め、マーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグの両巨匠がプロデューサーとして制作に参加。
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『スキャンダル』で、アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロさんが特殊メイクを担当しており、老年期のバーンスタインの風貌を見事に表現している。
ユダヤ系アメリカ人の指揮者・作曲家・ピアニストのバーンスタインは、『ウエスト・サイド物語』の音楽を作曲したことでも知られる人物。
ブラッドリー・クーパーの魂こもった演技が素晴らしく、イギリスのイーリー大聖堂でグスタフ・マーラーの交響曲第2番ハ短調を指揮するシーンは息を呑むほど圧倒的。
ブラッドリー・クーパーは、この約6分間のシーンを生演奏で撮るために6年間指揮の勉強をしたそうで、彼の本作への熱意はすごいとしか言いようがなく、オスカーをとってもおかしくないと思う。
どんだけタバコ吸うんだと思いながら見ていたけど、バーンスタインは実際に「超」がつくほどヘビースモーカーだったらしく、それを忠実に再現しているようだ。
擬似ワンカット形式でスピーディーに展開されるオープニングは、若き日のバーンスタインの豊かな才能とパワーがひしひしと伝わってくる。
至極の名曲を贅沢に使い、バーンスタインの人物像に迫りながら、夫婦の関係性にスポットが当てられていて、多幸感に溢れたモノクロの映像と、亀裂が生まれていくカラーの映像の対比が印象に残る。
バイセクシャルであったバーンスタインを夫に持つフェリシアは、計り知れぬ苦しみを抱え、多大な犠牲を払っていたことを知り、胸が痛くなった。
フェリシア役のキャリー・マリガンの演技も素晴らしかった。
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