藍紺

マエストロ:その音楽と愛との藍紺のレビュー・感想・評価

3.7
世界的指揮者レナード・バーンスタインとその妻で女優のフェリシアの音楽と愛に満ちた生涯。
芸術家の夫とその彼を献身的に支える妻、昨今は支える側の人間にスポットを当てることが多くなった。私自身も有名人その人よりも、その配偶者の方が俄然興味がある。
実際、レニーの様に才能もあるが過剰なまでの活動力や、度が過ぎる他者への干渉や接触は、傍から見ても一緒に生きていくことはとても苦痛を伴ったのだろうなと想像できた。キャリー・マリガンの繊細で気丈に振舞う姿は素晴らしかったし、ブラッドリー・クーパーのレニーそのものの熱演は見事だった。指揮姿も付け焼き刃とは思えず相当練習したのだろう。
ただ、全体的にキレイにまとまりすぎていた印象。バーンスタインの御家族が監修に参加しているので無理もないとは思うが、芸術至上主義の狂気とか、もっと愛憎渦巻く混沌とした世界が観られるかと期待しすぎたのかな。レニーやフェリシアの内面の奥底にあるドロドロしたものは全く感じられずアッサリしてんなーという感想でした。
藍紺

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