YAEPIN

マエストロ:その音楽と愛とのYAEPINのレビュー・感想・評価

4.4
バーンスタインはさることながら、ブラッドリー・クーパーのなんと多才なことか。

バースタインのパーソナリティにそこまで明るいわけではないが、彼の楽曲を聴いて浮かんでくる通りの、激しく愛情深くエキサイティングな人物像を演じきっていた。
顔もかなり似ている。
本作を観た後に、バーンスタインの本物の映像を見ようと思ってYouTubeで検索したら、ブラッドリー・クーパー版も混じっており、うっかりサムネイルを見間違って開いてしまった。

本作はバーンスタインの青年期、壮年期、晩年期を描く3部構成になっているが、時代に合わせてモノクロからカラーになり、アスペクト比も変えている。
バーンスタインは当時のインタビュー映像も残っている人物であるがゆえに、本人の所作だけでなく、当時の映像の質感までもトレースしようと力を注いだ映画なのだろう。

そして何より、バーンスタインと妻フェリシアの愛情溢れる日々にフォーカスした作品であるが、あらましが事細かに説明されるわけではないのに、2人が互いを見つめるとろんとした目線の演技だけで、関係性が表現されていた。
フェリシアが愛を抱えながらも、夫の奔放さに徐々に神経をすり減らし、疲弊していくのが切なく痛々しかった。
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