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マエストロ:その音楽と愛とのhuaのレビュー・感想・評価

4.0
世界的指揮者であり作曲家のレナード・バーンスタインとその妻フェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインがともに歩んだ生涯を雄大で美しいバーンスタインの音楽を背景に描いた伝記ドラマ。

凝ったカメラワークやシーンの繋ぎ方、モノクロからカラーへ又画角を切り替えたり、遠目からの長回しのシーン、年齢をちゃんと感じさせる本人に似過ぎの特殊メイクまでアイディア満載の作品。

前半のモノクロ部分では、キャリー・マリガン演ずるフェリシアは上品なドレスを纏いまさに往年の女優さんを彷彿とさせる美しさを魅せる反面、朗らかで明るくカラカラと笑う幸福感に満ちた姿が印象的だった。

一転後半はカラーに変わり、激しい夫婦喧嘩が繰り広げられ、幸せな結婚生活に暗雲が立ち込める。

この映画の大半は妻との愛の軌跡を描いていて、音楽の誕生秘話やバーンスタインにおける業績や活躍を具体的に見せてくれる場面は少ない。

しかしながら、
1973年9月、エジンバラのイーリー大聖堂での6分間に渡るロンドン交響楽団のマーラーの交響曲第2番『復活』の演奏シーンは最大の見せ場であり、ブラッドリー・クーパーはバーンスタインの指揮を完コピしたのかと思われた。
『ボヘミアン・ラプソディ』のライヴ・エイドように!

そこで実際のバーンスタインの指揮の動画を探して観てみたが、本物は約16分間。
全く違った。
ブラッドリーはこの役のために6年も指揮の勉強をしたらしいし、荘厳で胸が熱くなる素晴らしいシーンではあったが、実際のバーンスタインの方が軸がしっかりしていてオーケストラの全てを熟知した余裕を感じるスマートさがあった。
ド素人だけど、そんなふうに感じた。

それにしてもタバコ吸い過ぎ🚬
8割のシーンで指にタバコを挟んでいる印象。
実際レナード・バーンスタイン本人が1日に100本吸うと言われるくらいのチェーンスモーカーだったようなので、それはそれで忠実に再現しているということなんだろうけど、いくらなんでも吸い過ぎ🚬

レナード・バーンスタインとブラッドリー・クーパーは似ているのは顔だけでなく、惜しみなくその秀でた才能を世に出してくれているのだと思った。
来月のアカデミー賞が楽しみでならない。
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