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マエストロ:その音楽と愛とのtigerpantsのレビュー・感想・評価

3.1
レナード・バーンスタインとその妻の伝記映画にして、アカデミー賞に多数ノミネートされたという触れ込みからNetflixにて鑑賞。いざ蓋をあけてみたら、監督・主演・共同脚本・共同制作を一手に引き受けたブラッドリー・クーパーの独断場!というか、ちょっと悪目立ちが目につかないでもなく。

モノクロとカラー撮影の使い分け、異なる画面サイズの使い分け……等々、撮影技巧的なフックも多々散りばめられているのだけど、そこまで説得味のある技巧とは思いづらく、なんだか一々「やってやったぜ!」的な(製作サイドの)ドヤ顔が脳裏をよぎる。

かと言って「箸にも棒にもかからない大駄作」というわけではなく、それ相応にウェルメイドな造りも認められるのだが、畢竟、誰に向けて/どういうメッセージを込めて撮られた映画なのか(「すごい映画を作ったボクを見て!」みたいな?)

中盤以降、マーラーの『復活』を指揮するバーンスタインになりきったクーパーの熱演は、ちょっとした本編内のクライマックスだったことに異論はないのだが……あくまでも「映画」である以上〝ものまね大会〟とはまた異質な要素がほしかったし、このくらいの出来で易々とノミネートしてしまう「アカデミー賞」とやらの品格にも、いささかの疑念を感じずにはいられなかった。
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