トムトム

ニモーナのトムトムのレビュー・感想・評価

ニモーナ(2023年製作の映画)
4.5
これはオモロイ。
今月の「コレを見ればNetflixの月額料金の元は取れる」枠の作品です。

元は20世紀FOX傘下のアニメスタジオ、ブルースカイスタジオで制作されていたものがディズニーのFOX買収の余波でブルースカイスタジオが閉鎖されたために宙ぶらりんになっていたみたいですね。

皮肉なことに近年のディズニー・ピクサーの作品のどれよりも面白いし、社会問題を訴えることとエンタメとしての面白さを両立させる事に成功しています。

まず何といってもニモーナのキャラクターが素晴らしいです。
パンクな性格が最高。

シェイプシフターの少女とオッサンのバディものとして「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローの誇り」を思い出しますがやっぱり変身能力は画面映えしますね。

何にでも変身できるが故何者でもなく、皆と違う能力故誰にも受け入れてもらえない事に悩むニモーナとその出自故騎士として叙勲されても差別されるバリスターのコンビにはグッときます。

科学技術レベルは未来なのに政体は封建君主制という世界設定が良いです。

バリスターの声優を務めるリズ・アーメッドがパキスタン系イギリス人ということで現代の移民問題を想起しますし、街を壁で囲い外にはモンスターがウヨウヨしていると過剰に恐怖する世界観は現代の断絶が強くなった世界情勢を思わせます。

そうすると外見は未来ながら中身は騎士が闊歩する中世というのは差別や戦争を克服するどころかより酷くなっている現代の風刺としても観られる素晴らしい設定ですね。

展開やオチは割と予想通りなのですが盛り上げどころやカタルシスを感じる部分でしっかりと盛り上げる丁寧な作りには感心します。

バリスターとニモーナを安易な恋愛関係に落ち着かせずあくまでもバディという描き方は大好きです。

差別や断絶を作るのは大人たちの教育と振る舞いということをしっかりと認識できますしバルのゲイ設定を含めて子供と一緒に見るのに最高だと思います。

今見るべきアニメ作品としてオススメです。
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