T3K3

ニモーナのT3K3のネタバレレビュー・内容・結末

ニモーナ(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

Netflix/字幕


個人的に不作だった2023年、終盤も終盤にベスト級が来た!しかも配信で!

中世ファンタジー×サイバーパンクの世界観、シェイプシフトアクション、バディもの、など今作を構成する要素はどれも魅力的だが、とんでもなく斬新…というわけではない。また高品質ではあるが、昨今の超絶アニメーション作品(『アクロス・ザ・スパイダーバース』とかね)の作画と比較すると、それをも上回るクオリティ…というほどでもない。

でも僕が今作を推したいのは、目配せや上辺だけじゃない、作り手の「思い」や「熱」みたいなものが画面からめちゃくちゃ伝わってきたからです。その心意気を買わずして何を買おうか。従来の価値観・先入観を疑うことなく"型"に当てはめて生きる方が楽だし、やってしまいがち。でもそれって誰かを酷く傷つけてるかもしれないし、子どもたち次世代にも呪いのバトンを渡してしまっている。例え無意識だとしても。同じく今年公開の『怪物』にも近いテーマだけど、これだけのメッセージ性を含みながらもカラッとした語り口の軽さはすごい。

ちょっと賛否両論ある自己犠牲的な展開には僕も「あ〜そっちか〜」ってなったけど、それにしては行動に移すまでのタメの短さに違和感がある。だからニモーナとしては命を賭したつもりなんか更々なく、「あのカスをブッ飛ばしてくるわ!」くらいの感覚だったんじゃないかって気がするんですよね。案の定無事だったわけだし。

鑑賞後「今のディズニーに出してほしいのはこういうのなんだよなあ」なんて思いながら今作について調べたら、なんとD社がキャンセルしたのをネトフリが拾ったという経緯があるらしく…。なんつーかもう、さすがですわ。

ラストシーン、演出次第ではもっとしみじみとした沁みるハッピーエンドにもできたとは思う。それでも最後まであの勢いなのは、「物語が続くから」ってことですよね!!
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