タイトルに「U2」の文字が無かったのが原因か。それにしてもアーティストの知名度に対してレビュー数が少な過ぎる。この辺りのベテランと言えば、クイーンを題材にした「ボヘミアン・ラプソディ」や、デヴィッド・ボウイのドキュメンタリー「ムーンエイジ・デイドリーム」等の劇場公開作品はレビュー数も多いのだが、配信オンリー、しかもDisney+という事で、ファン層との接点が少な過ぎたか??
配信が始まった3月17日にリリースされたU2のセルフリメイク・アルバム「ソングス・オブ・サレンダー」と対を成すドキュメンタリーで、休養期間に入ったメンバーを除く2人(ボーカルのボノと、ギターのジ・エッジ)が、故郷のダブリンに凱旋して、アコースティック・ライヴを披露している。
加えて、ボノとジ・エッジが旧友であるアメリカの毒舌コメディアン、デイヴィッド・レターマンを招き、故郷に対する思いや、バンド内の友情について、照れ隠しをするように冗談を交えながら語り合う様子が収められている。場所柄、映画「ベルファスト」で描かれた紛争の話も登場する。
凱旋公演という事で、初期曲のリメイクも多く演奏され、アレンジの変化から彼らの円熟味を感じ取る事が出来るものの、若い頃の映像が何度も入る事で、逆に彼らに老いを感じてしまう。現在の映像のみで構成した方が良かったのではないだろうか。
ジ・エッジは、僕がギタリストとして強い影響を受けたミュージシャンの1人である。今作では彼のリハーサル風景や、普段はボノが担当している曲を歌うシーンもあり、バンドに於ける貢献度の高さを改めて知る事になった。今回のリメイク・アルバムも彼がプロデュースしている。