レオン

沈黙の艦隊のレオンのレビュー・感想・評価

沈黙の艦隊(2023年製作の映画)
3.2
「潜水艦物にハズレなし!」 が、初めてハズレた! 
潜水艦を扱った映画には名作や力作が多く、熟年映画ファンなら「潜水艦物にはハズレがない」事を知っている。
古くは「眼下の敵」(1957年)や、「Uボート」「レッド・オクトーバーを追え」「クリムゾン・タイド」、近作でも「ハンターキラー 潜航せよ」等も悪くなかった。

が、今作は緊張感が全く足りない、日本側登場人物に貫禄なく軽薄、物語進展に人物ドラマが中途半端に入り没入出来ない、そしてラストが・・・と及第点にも達してない。
(映画コムでは現在★平均3.3 です。)

冒頭の接触は、MI7の潜水艦シーンの方が、はるかに緊迫させる演出だった。 そして序盤に3年前の出来事にタイムバックするが、どこからが現在進行に戻っているのがはっきりしない展開に、いらぬ思考が必要に働く。 
若い視聴者の方には、「大沢たかお 」や 「玉木宏」 は頼れる上官に見えるかもだが、「三船俊郎」 や「山村聰」 さんらの "艦長" を見てる者からすれば、まだまだ全然貫禄が足りない。 
せめて役所広司が主演で、相手艦長が 大沢たかお なら、もっとシリアスで重厚な作品になったかと・・。

ソナー長役のユースケ・サンタマリアが、艦長より年上役なのは分かるが、作戦を説明してる艦長の横で机に両肘ついて話を聞いてるって、そんな規律のない海軍(自衛隊)あるかっ!

さらに日本の内閣人物が、総理に笹野高史? 頼りなさを強調したかったかもだが、明らかにミスキャスト。 官房長官役の江口洋介も、前髪を下ろしてアイドルヘアー? 「閣僚政治家があんなヘヤースタイルするか!」と思わず心で罵倒。 そして総理さえ逆らえぬ謎のご老人役の橋爪功が、緊迫会議に参加? 普通、内閣と軍幹部しかそんな会議には立ち入れないはず・・。 等など、落ち着いて見ていられぬほど陳腐な対策会議シーン。
シン・ゴジラの方が圧倒的にリアルだった。

それに今作で一番イイ台詞を予告ではっきり宣伝? バカか今作プロモーション担当は! あの台詞は、"物語の延長で伝えてこそ” 初めてゾクゾクッとくる台詞! はぁ~~とため息・・。

と不満ばかり出てくるが、1時間を経過したぐらいに、やっと緊迫シーンが迫り、息をのむ展開に♪  相手米艦隊の艦長はそれなりの年齢で、ハリウッド作品でもおかしくないぐらいの艦内シーンに感じる。

最も緊張したシーンでの大沢たかおは、迫真の表情で運命を賭している難しい演技をよくこなしている。 が、他シーンでは、逆に余裕があり過ぎて、少し芝居がかって見える。 私が言っている事が、よく伝わっていない方には「聯合艦隊司令長官 山本五十六・・」での役所広司さんや、
「太平洋奇跡の作戦 キスカ」(←これは名作)の三船敏郎さんの艦長と比較してみて下さい。

この後もまた、状況は緊張するシーンなのだが、演出に緊迫感足らずで・・・。 
そしてラストが・・。 (最後の行にネタバレ的に書きます)ネタバレにする必要もないと思いますが・・。

まあ、映画館で見る必要なく、配信待ちで十分かと。 日本の場合、俳優がプロデューサーを兼業した場合にあまりイイ作品がなかった様な記憶が蘇る・・。

私的には今作より★平均が低い、「空母いぶき」の方がよっぽど良作でした。

↓ ラストネタバレ


ネタバレという訳でもないのですが、
さあ、ここからがより興味ある展開に! というところで、
エンドロールが・・
そう、1話完結作品ではないのです!
「キングダム3」に続き今作もか! 大沢たかお! 
と言いたくなりました。
まあ、続編は劇場には足を運ばないと思います。
レオン

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