じゅ

沈黙の艦隊のじゅのネタバレレビュー・内容・結末

沈黙の艦隊(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

なんというか、
そんな「海江田の目的は何なんだ!」ってやるんなら予告に「我々はここに独立国やまとの設立を宣言する」のとこ入れんなや。
漫画見てる人たちはみんな知ってるってなもんで別にそこはいいんだろうか。


日米でなんかやんやして建造した原子力潜水艦シーバットを、艦長の海江田四郎と以下乗組員が日本からも米国からも離反して単独行動を開始する。米国は第7艦隊総出で沈めにかかり、日本は海上自衛隊が潜水艦たつなみを出して"捕獲"に乗り出す事態に。たつなみの艦長には深町洋が任命された。
海江田は独立国家やまとの建国を宣言する。世界全体を1つの国家にし、戦争のない世界を実現する理想を実現するとのこと。第7艦隊の原潜3基を巧みに沈めた自称「やまと」は再び潜航していった。日本と軍事同盟を結ぶという「やまと」と、間違っていると判断すれば沈めてでも止めると言う深町。大義を巡る戦いは続く。


続くんかい!!
いや、実はあれで完結したという可能性も?
ないか。ないよな。(きっとねいないよな。)打ち切りじゃあるまいし。
続きありそうなつもりで行ってなかったから頭が軽くパニクってる。不可制御な本能的な部分がその後何するにも「さっきのまだ完結してないぞ!」って騒いでるかんじ。

まあでも、32巻で完結してるんだ。『キングダム』とか『わたしの幸せな結婚』とかは元のが完結してないまま映画の方も走り出したからどうなるかと思ってるけど、こっちは何作目でどこまでやって何部作にするかとかあらかじめ決めて動いてんのかな。そうあれ。
まあ万一ゴリクソ滑ったら完結できなくなる可能性もあるかもだけど、その時はその時ってことで。


俺も速水副長に励まされてえな。潜水艦には乗りたくないけど。
巻き込まれた大佐は災難すぎる。あんなやべえ思想と一体感でしかも違う言語を使う奴らと対立する立場で密室に詰め込まれてんのこわあ。


さて海江田元首。核兵器を匂わせて日本と軍事同盟だなんだって、これからどうするんだろう。
力を持ってないと理想は実現できない、だそう。力で以ってなんやかんやして全世界を1つの国家にして世界平和か。一方でアメリカの大統領もリヴァイアサンになるとか何とか言ってたな。荒れ狂う海の神だけど平和を象徴してるとかなんとか。一見するとだいたい同じこと思ってるように見えて、同じ道辿ってる感あるけど、海江田元首はどうしてくんだろう。

ちなみにリヴァイアサン、旧約聖書のヨブ記とかに登場する海蛇みたいな怪物で、でかすぎて泳ぐだけで海が荒れ狂うとされる。天地創造の5日目にベヒモスと一緒に創造されて、リヴァイアサンが海を、ベヒモスが陸を司る全生物の頂点とされたとか。なんか終末の日に生き残ったら神が殺したリヴァイアサンを食わせてもらえるらしい。ぜひ生き残りたいっすね。
政治的な関わりとしては、英国の政治哲学者のトマス・ホッブズが著した『リヴァイアサン』という有名な書籍があるんだそう。
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イギリスの政治哲学者ホッブズ(一五八八―一六七九)の主著.各人が各人を敵に争う戦争状態こそ人間の自然状態であり,国家とは,平和を維持するために絶対主権をもって君臨すべくつくりだされたいわば人工の人間にほかならない.書名を聖書に語られる巨大な怪獣の名にもとめた本書は後世に絶大な影響を及ぼした.
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ですって。岩波書店の紹介ページに載ってた。(4巻まであるんすね。)国家とリヴァイアサンを重ねてるんだとか。平和維持を担う国家というものをリヴァイアサンと重ねたから、故にリヴァイアサンを平和の象徴としている的な。

なんか、作中で言われてたリヴァイアサン云々のくだりで言ってたことって、要は圧倒的にでかすぎる力を見せつけて外の国々を全部まとめて黙らそうみたいな意図かと思ってた。けど、ホッブズは内政的な話をしてんのかな。読んでないので詳しいことはわからんけど。
まあいずれにせよ、この後の海江田元首の持論の展開は楽しみにしてる。信念見せつけたって。


それにしても俺の中では、不敵な笑みを浮かべる大沢たかおさんは未だに『キングダム』シリーズ王騎将軍が重なって見える。あっちもまだ続くっぽいし、せめて公開は半年くらいはずらしてほしいと思ってる。
じゅ

じゅ