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コット、はじまりの夏のsazanamiのネタバレレビュー・内容・結末

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

家族は、厄介なものです。

子どもには、自分を受け入れ理解してくれ見守ってくれる大人が必要で、本来なら親や家族がそういう存在であるべきなんだろうけど、残念ながらコットはそうでなかった。
冒頭から、コットが家でも学校でも居場所がない様子が見て取れて、ちょっとしんどくなりました。彼女が悪くて居場所がないわけじゃないのに。

ショーンとアイリンと過ごすことで、コットはこれまで得られなかった幸せな、充実した時間と関係を過ごすことができた。
それらの関係は、とても愛おしい。もう家に戻らないで、ずっとそこで暮らしちゃった方が絶対いいよ、と思うくらいに。
けれどそれらの関係より印象に残ったのが、ラストシーンでのダンの姿なんです。
ダン自身コットのことを疎んでいるけれど、でも預けた先でなついている様子を感じると、それが許せなかったように見えたのです。
そこに家族の複雑さ厄介さを感じました。

あとは風景がとても美しい。
道の両脇の木立、牧草、農場、井戸の水。特に緑が非常に美しく撮られていて、それだけで心洗われました。
そして冒頭があるからこそ、後半のコットが木立の間を走るシーンがさらに美しく見えたんだと思います。
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