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コット、はじまりの夏のOKADICKリムのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.6
舞台はアイルランドの田舎町。
大家族の中、ひとり物静かで家でも学校でも変わり者扱いされ居場所がない9歳の少女コットちゃんは、
臨月の母の願いで一夏だけ親戚の家に預けられることになる。
物静かで人付き合いが苦手なコットちゃんだったが、親戚夫婦の家で過ごすうちに少しづつ心を開いていき、家族というものを感じていくようになるのだった。

アイルランドの美しい風景と農場や自然の音に目と耳は癒されるのですが、人間模様はどこか常にキリキリしてて気まずい。
コットちゃんは基本的に喋らないし、嫌な大人たちは口を開けば他人の悪口ばかり。
(親父も嫌なやつだけどご近所ババアのクソっぷりが中々)
そんな中、親戚夫婦のショーンとアイリン夫婦も人付き合いが得意なタイプの人間では無いけれど、2人と共に過ごす静かでゆっくりな時間がコットちゃんにとって居心地がいいのは確かなんだろうなぁと。

ショーンが言う
「沈黙は悪いことじゃない。沈黙する機会を逃し、失ってきたものも多い」
的な台詞も印象的。
自分の感情を訴えないコットちゃんが最後に訴える思いを観るための95分だった気がします。

自分の居場所はこの世界にもあったんだと発見があっただけでも、親戚夫婦との一夏はコットちゃんの一生の宝物になったでしょうね。
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