Koshii

コット、はじまりの夏のKoshiiのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.0
淡いけど本当。

生々しくも繊細で。

愛の物語なのかな。信じられる愛を見つけたコットの夏の物語。

与える愛に沢山の種類がある様に、
必要とする愛も様々であるはずだ。

フォンダンショコラの、じゅんと染み込む甘さと口溶けのように、こういう映画を観ると、心に小さくて愛おしい優しさが染み込んでいくのを感じる。この感覚がとっても好きで、一つ自分の心にアンテナが出来たような、そんな感受性の未来を、思わず内へ内へと抱きしめたくなる。


以下、ネタバレを含みます。













コットの存在は、鋭利にも、優しさにもなり得る。画になる美しさ。もの静かで、主張をしない彼女を、世話を焼かなくて良かったというダンと、この子ならいつでも歓迎というアイリン。この明確な想いの違い、差。

ダディ。ダディ。の届く先と、届けたい先に、彼女の力強さと、心の成長を見る。ダンとショーンの目線もまた印象的だった。

夜の海辺での会話。
「沈黙は悪くない。たくさんの人が沈黙の機会を逃し、多くのものを失ってきた。」ショーンは大事なことをコットに話す。

沈黙の美しさ、儚さ、優しさをコットは知った。それは同時に、コットを沈黙に置き換えたショーンの言葉でもあった。

あまり背景が描かれないからこそ、感じる余地が多分にあり、そういう私的な見方も出来るはずで。

体に良さそうな優しい薄味が、じんわりじんわりと、観終わってからもなお、しみじみと沁みていく映画だった。クッキーのシーンが大好き。🍪。🍪。

p.s. パンフ買いました。
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