コーディー

コット、はじまりの夏のコーディーのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.2
少女にとって唯一の意思表示だった沈黙。そんな誰にも届かない悲しみに耳を傾け、掬ってくれる人たちとの出会い…
どこにも居場所がなかったコットがようやく緊張を解ける親戚夫妻とのひと夏。言葉ではない気遣い、母乳ではない粉ミルクに育まれ、走り出す姿に胸が締め付けられた。

不安や恐れ、親への不信など沈黙から発信される様々なサインに対する親戚夫妻のケアがとにかく繊細で…特別な事は何もしてないのに大切に想っているのが端々から伝わるし、安心感に癒される。
特にショーン叔父さんの無口だけどコットを尊重している様子は決して感傷的ではないのに愛に溢れていた。

そんな心を癒されていく過程や誰かに受容れられる喜びに満ちていく視点など、手堅くシンプルな物語でありながらコットにとっての掛け替えのない時間が深い情感と共に響いてきて割と序盤からウルウルしてたしw
この夏を経験してコットがどう成長するか、余韻が途切れないラストも素晴らしい。

そして何よりコットの悲しみや喜びを繊細な表情の変化で表現するキャサリン・クリンチの演技が本当に素晴らしかった。
傑作です!