Monisan

コット、はじまりの夏のMonisanのネタバレレビュー・内容・結末

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

観た。

邦題が良くないシリーズの一つかも。
原題は「The Quiet Girl」この方がしっくりくる。

冒頭は台詞の音量や言い方、物音のSEもきつくて、ざわざわする。ギスギスした家族の演出なんだけど、単純に観ていて息苦しい。

その家族の中では問題児のコットは、出産を控えた母親の負担を減らす為に従姉妹夫婦の家に預けられる事に。
叔母さんはとにかく優しく、身体を洗ってあげたり、おねしょを責めないであげたり。着替えの際のお下がりという言葉には引っ掛かる。
優しさに触れ、おねしょも治まり穏やかな夏の暮らし。静かで優しい世界。

叔父さんはなんとなくコットの距離感が掴めない不器用で無口な感じ。でも良い雰囲気。
ただご近所さんから、息子さんの事を聞かされ、それを夫婦に伝える。叔母は1人部屋に。

ここからの叔父さんがとても良い。息子の不幸と妻の病んだ心も受け止めていたんだな、と。そしてコットにも優しく出来る。
叔父とコットの手紙取ってくるダッシュは良いシーン。風のように早かったぞ。良い台詞。牛小屋の掃除を手伝ったり、仲良くなっていく2人。

夏は終わり、母親は無事に弟を出産し、家に帰る事に。
水汲み場に落ちてしまう、コット。息子の事もよぎっただろう叔母は、また少し不安定に。

家に帰ってきて、いよいよお別れに。
ここはずるいなぁ、ずっと淡々と静かに流れてきた映画なので、コットが風のように走り出し、2人の車を追いかけるだけで涙が出てきてしまう。
それで、最後に抱きつくのは叔父さんなんだね。叔母は車の中で泣き咽び。
そして本当の父親が向かって歩いてくるなか、お父さん、お父さんと。これオフナレだったのかな。
このラストを観ての感想としては、コットにとっての初めての父親体験で、その叔父さんの妻をも包み込む父性のようなものを感じた。
叔母さんは結局、息子の喪失感からは抜け出せていない感じだったので。

そういう意味だとすると不思議なテーマの映画。あまり観ないというか。

コルム・パレード、脚本・監督
Monisan

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