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コット、はじまりの夏のkazuoのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.5
1980年代のアイルランド。内向的で寡黙なコットは学校でも家でも1人でいる。そんなコットは夏休みに親戚の家に預けられることになり…

自己主張できない内向的なタイプでかつ聡明故に大人の"秘密"を抱え込み、ますます寡黙になっていくコット。
そんなコットは預けられた親戚の家で、アイリンとショーン夫妻に関わる事で徐々に心を開放していく。
前半は主にアイリーンとの交流で優しく、そしてコットを肯定しながら物語は進んで行く。その中であまり話さないショーンはコットの存在をあまりよく思っていないのかな?って観ていたら後半はコットとショーンの交流が中心になる。そしてその起点になった甘やかすべきところで甘やかすショーンの姿に胸がジーンと来た。
作品は基本説明的なセリフなどなく映像で表現するのだけど、その中でも特にコットの表情の変化を繊細に捉えている映像は素晴らしかった。
唯一説明的なシークエンスは、親戚夫婦の過去をおしゃべりで下衆な感じの近所の女性が話すところだけど、これはむしろ不自然ではなく逆に今作において一番自然形で伝えてくれたなー、と技術を感じる次第。
そして後半、ある秘密を共有する事で綺麗事で物語をまとめず、でも思いやりを感じて微笑ましいところがとても良かったなー。まぁ、作中の人物たちは心拍数が上がってけど😅
心を開いたのは、幸福を与えられたのはコットだげじゃなく親戚夫婦も同様。だからラストのコットの呟いた言葉が胸を打つ…
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