トールキン

コット、はじまりの夏のトールキンのネタバレレビュー・内容・結末

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

どこにも自分の居場所が無い9歳の少女、コットがひと夏の体験で感じて手に入れたものとは。
主人公コットを演じたキャサリン・クリンチ。映画初出演で子役ながらも彼女の存在感にただただ魅せられる。9歳の少女という健気で愛くるしい姿とは裏腹に終始に渡って見せる陰湿で憂鬱な表情、それがこの作品の全てを物語っていると言っても過言ではなく、そう強く感じれた。
これは内容や展開の説明描写などがあまり無くて見てる側が如何に受け取り、どう感じ取って感情移入するかってやつ。

そして、おばさんのアイリンとおじさんのショーンの存在感。最初からずっとコットに優しいアイリンと最初はちょっと嫌な感じを出していたショーン。でも少しずつ徐々に互いの溝が埋まっていく過程にほっこりする。まるで本当の家族のような関係性。それに伴ってコットの表情にも少しずつ変化が表れていく。

絶賛されてる今作だけど正直な感想として序盤から中盤くらいは淡々とし過ぎていてちょっと期待し過ぎたかな、と思ってしまったけど中盤から終盤にかけてはずっとスクリーンに釘付けでどういうラストを迎えるのかドキドキしながら見てた。
この時のコットの表情にも目を見張るものがあって生活に慣れてきて表情に明るみが出てきたと思いきや、別れが近づいてきて家に帰りたくない、ずっとここにいたいと思わせる憂鬱感をまた見せるような彼女の表情の演技に自然と凄いなと思わせてくれる。

そして、最後はね、見た方は分かってくれると思いますが、もう瞬間的に涙がブワッと出ました。あのフラッシュバックのシーンは嫌でも泣いてしまう。めっちゃ個人的なこと言うとテーブルにそっと置くクッキーのとこで一気に涙腺崩壊しました。アイリンとショーンにもちゃんと思いが伝わっていたのもめちゃくちゃグッときました。これは本当にダメなやつです。思い出してまた泣いてしまうやつです。もう思い返せば彼女の一つ一つの表情が目に浮かんでウルっときてしまう。そんな余韻がずっと後を引いてます。このレビュー書いてる今正に涙が出てます。

簡単な締めになっちゃいますが、やっぱり人と人の繋がりって「愛情」なんだな、と思わせてくれます。
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