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コット、はじまりの夏のshoのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.2
夏休み中に親戚に預けられた子どもが、そこでの出会いや経験から学び考え成長していく物語。
作中で「アルプスの少女ハイジ」に触れるとおり、古典的な児童文学の型を丁寧になぞっていて非常に分かりやすい。だからつまらないかというと、全くそんなことはなく。本当に素晴らしい作品だった。

邦題「コット、はじまりの夏」。
原題「The Quiet Girl」。
あと予告を見て何か刺さるものがあれば、迷わず劇場に行った方がいい。

物語中盤、一回一回丁寧にコットの髪に櫛を通していくシーンあたりから、もう胸に熱いものが込み上げてしまって大変だった。まさにコットの心も解きほぐしていく演出、素晴らしい。

いい人ばかりじゃない厳しい現実。何が起こるかわからない人生。少女なりに少しずつ向き合い、受け入れ、心を開いていく。
「手のかかる変な子」であり「本当にいい子」でもあるコット。大人の身勝手に振り回される理不尽、しかし大人自身も、心に何かを抱えながら生きている。そんな不完全さを理解していくことで、大人の世界に足を踏み入れていく。

とにかく演出がとても丁寧だし、少女の演技が素晴らしい。アイルランド田舎の牧草地の情景は美しいし音楽も素敵。
とてもよかった。

詮索好きで余計なことしか言わない隣人とか、少し分かりやすすぎるというか、キャラがコテコテなのは笑った。
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