かわちゃん

コット、はじまりの夏のかわちゃんのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
5.0
本当に映画として、完璧な作品と言いたいです。
主人公コットを演じたキャサリン・クリンチの、とても静かな演技力の高さは当然ことながら、映画としての総合点の高さに、涙が止まりませんでした。
少女の視点を表現する正方形に近いスクリーンに映し出される、映像の圧倒的な美しさ。光と陰影とカット割も絵画のような美しさであるのに、物語に没頭できるような連続性も兼ね備え。
また各人物の抱える物語や感情の、静かでリアルな説得力。少ない台詞の素晴らしさ。そしてラストへ圧倒的な感情移入をさせられ、結果静かな涙を何回も流すことになりました。
静かに奏でる音楽や、自然の音の数々も、結果この映画の素晴らしさを更に増す効果に。
演出・役者・物語・映像・音楽・音響・舞台・編集・・・すべての映画としての要素が、コットに捧げられており、派手なことはなくても、こんな素晴らしい映画になるんだと、オススメの言葉しか出てこない大傑作です。
24年度の個人ベストには間違いなくなるであろう良品でした。