Pao

コット、はじまりの夏のPaoのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.0
恐らく初めて映画のチョイスを友人に委ねた。来月閉まるミニシアターに行った事がないというので誘ったついでに好きなの選んでいいよと言ってみた。友人が選んだのはPERFECT DAYSや哀れなるものたちではなくアイリッシュ映画をチョイス。中々のセンスである。
感想としてはとても良かった。
特に照明と構図がとっってもいい。光の明暗や草木が輝く様子、部屋の空気を感じるような照明はとても素晴らしい。自然な光に見えるからこそそこにいる人々の生活が垣間見えリアルに感じる。単純に美しいと言えばそれまでだがそれ以上に情緒揺さぶる風景が広がっていた。明暗というよりは光の当て方がとても好きだ。
同じく構図もとても好き。食事のシーンでキッチンを俯瞰している構図がとても印象的。どこにでもありそうだが彼女らにとっての非日常感を上手く表現している。車内は主人公の目線がふんだんに使われて不安や親戚夫婦と徐々に打ち解けていくのが垣間見れるシーンだった。窓から見た風景、灰皿は何故だかとても印象に残るシーンである。
ラストは様々な受け取り方があるだろう。もう少し明確なラストにしてほしいとも思うがそれでは平凡な映画になってしまうため、このようなエンディングは観客に考えさせるという面でも必要だったと言える。
アイリッシュ映画と言えば同館で観た「恋人はアンバー」も好きな映画だ。この作品をキッカケにアイルランドの映画を掘っていこうと思う。
Pao

Pao