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コット、はじまりの夏のodyssのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.5
【ヒロインの少女に尽きる】

時代設定は1981年だそうです。
テレビや車は普及しているけれど、ケータイやスマホはまだなかった時代。
場所はアイルランドの田舎。

学校でも家庭でもうまく適応できていない少女が、一夏を親戚の夫婦の家で過ごして、生きることに積極的になっていく、という物語。
まあ、定型的ではあるけれど、それなりに魅力的な映画です。

親戚の夫婦もいいのですが、やはりこの映画は主演の少女役であるキャサリン・クリンチに尽きます。
うーん、美形ですねえ。「かわいい」じゃなく「美しい」。
こういう少女なら私でも喜んで預かります(笑)。
将来が楽しみだなあ。むろん、女優としての成長が、です。

実の父親とか、葬式のときに一時的に自宅に連れて行ってくれた(余計なおしゃべりをする)オバサンだとか、「悪役」が固定的なのが難点かな。

それと、ここでヒロインが預けられた家で『ハイジ(アルプスの少女)』を読んでいるのが、暗示的ですね。
あの物語は、実の両親をなくし叔母に育てられていたハイジがアルプスに暮らす祖父に預けられて生きる力を得ていくという筋書きですが、この映画は言うならば敢えて種本を出すことで、インスピレーションの元に敬意を表しているとも考えられます。

しかし『ハイジ』では途中色々あるけれど最後はめでたしめでたしになりますが、この映画は言うならばラストをオープンにしている。そこが、制作側の工夫というべきか、苦悩というべきか。
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