近本光司

アダマン号に乗っての近本光司のレビュー・感想・評価

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)
3.5
決定的な瞬間は一度も映らない。カメラが欲張ってそれを撮ろうとすれば、このドキュメンタリーはたちまちフィクションの性格を帯びて別物になっていただろう。セーヌ川に浮かぶ小舟に集う人びとの日々は、わたしたちの生活とたがわず退屈で、また同時に掛け替えがない。そのドキュメントに禁欲的に徹した109分。英語の community と仏語の communauté の差異について考えた。