湯っ子

アダマン号に乗っての湯っ子のレビュー・感想・評価

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)
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フランスのセーヌ川に浮かぶデイケアセンター、アダマン号。この船がほんと素敵。ゆっくり開く窓から光が差し込んで、アダマン号の1日は始まる。やってくる人々が自由に発言し、自分を表現できる場所。
想田和弘監督の観察映画を思わせる作り。ニコラ・フィリベール監督のことはこの作品で知ったけど、こういう作風なのかな。
デイケアセンターに通う人々とスタッフを、限りなく「見守る」に近い感覚で「観察」している。一見すると、スタッフと利用者の区別はつかないように見えるけど、そうであるために、スタッフはいつでも真剣に利用者と関わっているし、細心の心配りをしているのだろうと想像する。
「話を聞く」ということの難しさ。必ずしも要領を得ていると言えない話の中から、話し手が本当に伝えたいことは何か、を全神経を使って感じ取る。表情や視線、言い淀んだ言葉は、あえて言わなかったことは何か。真意をわかったとしても、それに気づかないふりをした方が良い時もあったりして。余計なアドバイスをするくらいなら、上の空で相槌だけ打ってる方がまだマシだったりもするよね(駄目だけど)。
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