なお

妖獣奇譚 ニンジャVSシャークのなおのレビュー・感想・評価

2.8
「また海外勢がトンデモサメ映画を世に送り出してきたな…ってまさかの日本製かよ!?」
Twitter上で本作公開のニュースを目にしたとき、思わずそんなツッコミを口に出してしまった。

また本作、仮面ライダーやウルトラマン出身の「特撮俳優」が多数出演している点も気になった。

万が一の保険のため、シネマカリテの水曜サービスデーを利用して鑑賞。
今の僕にこの映画をフルプライスで見る勇気はない。

✏️問題点
・「サメ映画」である必要性の薄さ
約70分程度の尺がある本作だが、肝心のサメの出番が圧倒的に少なく、むしろ「ニンジャ映画」と呼んだ方がふさわしい。

本作、サメ映画でありながら中途半端にストーリーがしっかりしているため、「主人公とサメが戦う理由」のようなものを持たせたかったのかもしれない。

だがしかし、サメ映画において「サメが登場する理由」すなわち「合理性」など必要ないのだ。
サメがなぜか街中を飛んでるとか、トウモロコシ畑に出没したとか、なんかそんな理由でいいのだ。

多くのサメ映画ファンがサメ映画に求めているもの。
マジメに考えるのもバカバカしいチープなストーリーだったり雑な演出だったりを、皆で寄ってたかってあーでもないこーでもないを言い合う時間だと思っている。

しつこいようだが、本作はとにかく「中途半端に」それなりに映画としての体を成してしまっているため、これといった笑いどころもなければツッコミどころも存在せず、面白みの薄い内容に留まっている。

描き方によっては大化けする可能性もあった「ニンジャ対サメ」というテーマだっただけに、非常に残念。

✏️賛否両論点
・まあまあハードなグロテスク描写
密かにR15指定を受けている本作。
往年のサメ映画のような出血シーンや人体損壊シーンもある種「お約束」として存在するが、本作のそれはかなり生々しいので人によっては不快感を覚える可能性が高い。

果物ナイフみたいな小刀でいとも簡単に人の首を切り落としたり、かなり出来の悪い首だけマネキンなどはまあカワイイ方。

ただ、やたらリアルな臓物が飛び散ったり、ある人物の四肢が爆散していわゆる「ダルマ状態」になるのは少々やりすぎな気も。

誰もサメ映画にそこまでのグロは求めていない。

✏️評価点
・上出来なアクションシークエンス
「B級臭を漂わせたニンジャ映画」にしては、アクション面は上々の仕上がり。

前述のように特撮出身俳優がメインキャストの多数を占めているからか、キレとスピード感のある一連の戦闘シーンは、そこらへんの下手な映像作品よりかなり頑張っている。

劇中登場するニンジャ集団、上記のような肉弾戦はもちろんのこと、ニンジャらしく忍術も使用する。
忍術発動時のエフェクトや効果音は、こちらも「B級にしては」及第点以上のものがあり、体術と忍術を切り替えてのニンジャ・バトルはそれなりに見ごたえアリ。

・特撮俳優陣夢の共演
メインキャストで特撮出身俳優を抜粋すると…
⚫︎平野宏周『ウルトラマンZ』
⚫︎中村優一『仮面ライダー電王』
⇒氏が演じていたのは、いわゆる「2号ライダー」の仮面ライダーゼロノス
⚫︎西銘駿『仮面ライダーゴースト』
などなど。

そのほかメイン級の登場人物ではなかったが、『仮面ライダーアマゾンズ』に出演していた宮原華音も出演。
身長170cmと女性としては長身の部類に入る彼女が、長い手足で披露する「くノ一アクション」は必見。

レジェンドスーツアクター・高岩成二氏の息子さんもこっそり出演。
興味がある方は探してみるのもいい。

特撮ファン限定の視点にはなるが、特撮出身俳優がヒーローとしての役目を終えた後もこうしてスクリーンの中で頑張っている姿を見るのはやはり嬉しい。

☑️まとめ
「特撮出身俳優・制作スタッフが絡んでいる」
「日本発のサメ映画である」
公開前、SNS上での話題性はかなり上々だった。

しかし蓋を開けてみれば、我々観客の期待を煽るこれらの要素が、実は「客寄せパンダ」だったのではないか…?と思われても仕方がないほど地味で特徴がない内容。

海外のサメ映画監督たちにこの「ニンジャvsサメ」というプロットを貸し出した方がより面白い作品ができあがる気がする。
がんばれ、日本のサメ映画界。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★☆☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★☆☆☆

🎬2023年鑑賞数:48(20)
※カッコ内は劇場鑑賞数
なお

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