日常から隔絶した夢の世界、豪華客船。しかし、タイタニック号はそのあまりの巨大さの為に日常社会をも飲み込んでしまっている所が興味深い。一等から三等まで社会階層に応じて割り振られている格差社会。一等客室に乗る名家の令嬢ローズ。しかし、その家計は切迫しており、望まない政略結婚を強要されていた。そんな人生に絶望するローズの前に現れたのが貧しい画家志望の青年ジャックだ。彼を通じて知る生き生きとした庶民文化の世界。退屈な上流階級の男性には無いジャックの魅力にローズは惹かれていく。禁断の愛という設定は定番過ぎて鼻白むように感じるかもしれない。しかし、タイタニックという非日常の舞台背景、主人公を演じた若きレオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレットの圧倒的な美しさは観客をロマンチックな夢の世界に導く力がある。やがて訪れる未曾有の事故。ジェームズ・キャメロン監督は災害映画としての恐怖とスペクタクルを最大限に見せつける。そしてそれを人間ドラマに結びつける事に成功している。極限状況に直面した時の人間の弱さ、強さそして美しさ。様々な人間模様が描かれる。そしてジャックとローズ…。名作。
