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タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスターのmoonのレビュー・感想・評価

5.0
こんなに泣けるなんて…

25年前に家族や友人達と何回も劇場に足を運んだ。1人で観るのが勿体なかった!
その後もDVDで何回か観た…
そして、今回.10年振りくらいだろうか。
今度は映画館での鑑賞!

ストーリーも画も表情も 全く忘れてなかった!全部覚えてた!
なのに、なのに!始めから
知らず知らずに泣けて来る…

ジャックら若者が、賭けに勝ってタイタニック号に意気揚々とはしゃいで乗り込む!

その後の悲劇が待っているのに…
だが…だから泣けたんじゃない!

彼らの希望に満ちた煌めきに トキメキに
感動したのだ!
眩しくて 泣けた…。

ジャックがディナーに招かれて
周りの大人からの蔑みの視線の中、住居や職業を尋ねられ、

「ある日は橋の下に眠り、ある日はこのようなディナーの席に招かれ、明日がどうなるか分からないのは楽しい!自由だ。この健康な体と スケッチブックさえ有れば、何も要らない!」(正確なセリフではないけど…)

と楽しげに毅然と答えるシーンが沁みた!
いいなぁ!そんな人生送ってみたかった〜😂
堅苦しく、決められた通りの日々を過ごす宿命を嫌悪するローズにとって、そう答えるジャックは どんなに魅力的だったろう✨

タイタニック号の話は 小学生の頃、1958年公開のモノクロ映画をTVで観て知った。その時、一番 記憶に残ったのは、今回も描かれている 音楽家達の姿だった。最後まで演奏家として人々に音楽を届けた彼ら…誰も聴いてないと彼らは思っていたかもしれない…が、この音楽は確かに誰かに届いていた!だから 生存者の記憶に残り、映画に刻まれたのであろう…彼等の懸命に生きた証は残った。
このシーンは何度観ても 泣ける。

沈む船の中でのあらゆる人間模様が描かれ、自分なら 一体 どうするだろう?と思いながら観ていた。紳士として泰然と死を迎えようとする者、ベッドで抱き合う老夫婦、幼い子どもを寝かしつける母親…涙。
業務を真面目に遂行しようと懸命に働く 船員達…一時 金に目がくらみ、誤ちに自ら命を断つ乗組員…哀しい
そして、混乱し逃げ惑う 大勢の人々…


その中で、お互いが生き残る為に必死に運命と闘うジャックとローズの姿は 逞しく、美しく、魅力に満ちている。
ジャックの頼もしさに支えられ、
恐怖も飲み込むローズ…
船が傾き垂直に海に沈む!

私なら、絶対 竦んであの高い場所には居られない💦

凍る海に投げ出された人々…
その中で救われたローズ


ジャックの死は悲しい。
でも、彼は言った。「君と会えた事が僕の一番の幸運だ」と…ジャックは本当に幸せだったろう。愛する人を守れた…

そして、ローズはジャックが望んだ通り、逞しく生き延び、やりたい事を見つけ、自由に生き、結婚して子どもを育て、長く(101歳!)生きたのだ!ジャックの分まで…!!それは生涯かけてジャックを愛したという証。

その生き様が彼女の枕元の写真で映し出される時、何回観ても泣けてくる。あぁ、ジャック…良かったね…😭

この映画は 生きること、愛することへの賛歌が主人公を通して切なくも清々しく描かれていた。


そして、海の底に在る 朽ちたタイタニックが次第に元の船体に戻って行く様は何度観ても ワクワクするし、大好きなシーンだ。その大広間の扉が開いて、大勢の人々に祝福され、ローズがジャックの元に向かうエンディングは…もう…

最高!!

この先、老若男女 誰もが共感出来る こんなに胸打つ大作には 中々巡り会えないだろうと思う。

非の打ち所の無い傑作!だと、改めて思った。






《雑感》

この映画が公開された頃の日本は きんさん ぎんさんが100歳を超え、その長寿を誰もが祝福し、喜んだ。
長寿は 讃えられるべきものだった。

あれから25年の間に…人々の深層に
長く生きることの是非が問われる世の中になってしまった…のではないのか…。

100歳超えたローズの生き様に、羨望と感動で涙が出たのとは 裏腹に、今の時代の 「人が長く生きる事への眼差し」の違いを 「PLAN75」などの映画の出現に感じ、その哀しさに また 泣けて来た。

いつの日か 未来は希望に満ちて、生きる価値が有る!と
皆が 思える日が、そんなメッセージを信じられる日が…来て欲しい。






《余談》


ローズの母と一緒に救命ボートに乗り込んだモリー、海に投げ出された人々を救う為 引き返そうと提案するも…恐怖に戦く乗員は…
けれど、彼女 素敵な人だ!見習いたい。

モリー。マーガレット・ブラウンは実在した人物。若い頃は貧しかったが、夫の鉱山技師の成功により、裕福に。若い頃から 女性の権利や、子どもの教育を向上させる為に活動していた。45歳の時に孫の病気を知り、旅先からタイタニック号でアメリカに帰国する際、事故に遭う。

映画では、舵取りの船員に阻まれ、救援を留まるが、実際は「身体を温めたいから」という理由で舵を握り、反対の声も物ともせず、自ら漕いでボートを水難者の元へ向かわせたという。しかし、彼女のボートは1人も生存者を発見出来なかった。(けれど、彼女は著名人だった為、彼女の行動は称えられ、その後 彼女の人権活動に役立ったという。)

映画でも、そう描いて欲しかったな.。映画の尺的に断念したのかも💦…残念。
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