いけ

パスト ライブス/再会のいけのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

Filmarksの試写会で鑑賞。
カメラの構図が綺麗な映画だなと思った。
ポスターにもなっているメリーゴーランドをバックに2人が語り合うシーンがとても象徴的だなと思った。
ポスターだと分からなかったけど、とても古いメリーゴーランドのようで、保護のためにガラスの壁に囲われている。
その前で2人は「あの頃はまだお互い子供だったね」と過去を懐かしんでいる。
メリーゴーランドのように過去の思い出を大切に保護するかのように。

そして、作中で繰り返される2人が見つめ合うけど、その間に障害があるカット。
移住前の公園のシーンでは木が、再会したNYでは地下鉄のポールが2人を遮っている。
ラストのウーバーを待つ2人は再び見つめ合い、初めて何にも遮られないカットになり、言葉も交わさずにただただ見つめ合う。このカットが切なくて危うくて見ていられなかった。

カメラの構図以外で印象的だったのは、韓国の男性性について。
ヘソンの人生から漂う、兵役やブラック労働、一人っ子の事情などすごく抑圧的で「こうあるべき」がすごく強いなと思った。

アーサーの絶妙な立ち位置もよかった。
この役者さんめっちゃ好きだなと思ったら、ファーストカウの人だったのね。

アーサーとヘソンそれぞれが「もしあの時こうしてたら」「もし僕が別の人だったら」というIFの話も印象的だった。
でも、そんなIFはあり得ないのよな。
もしあの時別の選択をしていたら、もしそれが別の人だったら、今は違う未来になってたのだから、そのもしもは成立しないのよな。

もっとドラマチックに、もっと感情を露わにする話にもできたであろう話をとても禁欲的に描いていた。故により心に残る話だった。
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