Ayaka

パスト ライブス/再会のAyakaのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

CINEMOREさん試写会にて、ありがとうございました。

「えっ?これで終わり?これがアカデミー賞ノミネート作品?」、正直なエンドロール中の私の頭の中。

しかし、上映後のLiLiCoさんとレイラさんの対談にて新しい視座をいただきました。
アメリカ社会で生活する人々の目線になると、ちょっとしたスキンシップより断然深い心の繋がりが、新鮮に感じるよう。
それでも、もしーという可能性や “ご縁”という目にみえないものを、映像にした作品は、アジア人の私の感覚からしても美しいものだった。
また、アメリカ社会の中でアジア人の立ち位置が一世代前とは変化したことを示唆されていて、恋愛映画であるが、社会的にも意味のある作品だと感じた。

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韓国でお互いに恋心を抱く、少女ノラ少年ヘソン。しかし、ノラの海外移住で離れ離れに。
12年後24歳にオンラインでの再会。そして更に12年後36歳にニューヨークで再会する。
Past livesー前世ーイニョンー縁、運命

今にたどり着いた人生を肯定して、より大事なものを大事にできるようにハグしてくれるような映画
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切り取られる映像の魅せ方がとても美しい。影や余白の使い方、映し出されるセンスが好みだった。特に、ニューヨークはソール・ライターのような日常に美を見出せる、そんな世界の小さな断片が散りばめられて眼福。あの美しい世界観、また味わいたい(明るいうちからお酒を嗜みほろ酔いだったため、冒頭ウトウト…..。主人公の2人がオンラインで再会するあたりまでのシーンが抜けているので、また観たい事に土下座)。

沈黙のラストシーンは、とても胸が苦しかった。2人の選択に切ない余韻が残って、ノラと同じように涙していた。
でも、冷静に、もしご縁ある男性から”来世”がどうのこうの。なんて言われたら、関係値にもよると思うけど私は引いてしまいそう笑
どんなにご縁を感じても、それが必ずしも運命では無かったりする。そして、美しい思い出になっている時点で、その縁を育てるという選択肢はないのかな。タイミングと選択のズレというものは、もどかしく哀しい。

・”あなたが覚えている昔のノラは今あなたの前にはいない、でも確かにいた。”
一概ではないがよく言われる、男女の過去の思い出との付き合い方、違いが明白なセリフだと感じた。
人との関わりの中で、昔の自分を記憶してくれている人がいるということは貴重で、大切な存在だと思う。人は曖昧で不確かだから。そのことを、否定せず受け入れ言葉にするノラが美しかった。

・ノラと夫アーサーの関係性が、新鮮だったが妙にリアルな描かれ方。
ノラの夢を理解できず韓国語を勉強していたり、アジア人に劣等感を抱いていたり、邪魔なアメリカ人と自覚している。そんな彼だから、ラストシーンで泣いて戻ってくるノラを抱きしめられたのだと思う。それでも、アーサーの器の広さに、心は痛かった。
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