じわじわと染み入るように心に登場人物たちの想いが入り込んできて、切なく面映ゆくじれったく、ただただ、彼らの邂逅と選択を見届ける。そんな繊細な恋愛ドラマでした。すごく、良かった。
他愛ない会話と親密な目線のやり取りを積み重ねて、二人の間にはかけがえのない「イニョン＝縁」があることを知らされていく。けれど幼い頃の離別からすでに24年経った大人となった今は、その縁を理解してさえも、未来をともにできるとは限らない。
彼と彼女が最後に交わした会話に、今までもこれからも変わりつづけることのない、かけがえのない愛情の「かたち」を静かにあらわにされて、ぐっと喉が絞まるような感覚を覚えました。
人を愛するとは、その人の生きざまを、現在を、そして未来を応援することだ。自分がそれに寄り添えれば最上だろうけれど、そうでなければ、そう、あの彼の言葉に希望がある。
成就や別れといった結果がすべてではない、その想いを抱いている時間があるということこそがきっと幸福なんだろうと、そう感じた物語でした。とても好きな映画になりました。
