mさん

パスト ライブス/再会のmさんのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ好きな恋愛映画。
その理由は二つ。

まず恋愛のバランスが個人的にめちゃくちゃハマった。
いっつも、そんなタイミングでそんな行動する?みたいな
のがこと恋愛映画になると余計に激しくなっちゃう自分だけど、
この映画は一線は超えない、叫ぶような感情的なことは言わないし、
じんわりと進んでいくんだけど、確実にお互いを想っているのが滲み出ちゃう感じがすごくいい。

もう1つは恋愛映画で輪廻転生とかを感じたのが新鮮で良かったから。
とにかくこの2つが自分好みすぎて、
やっぱり刺さってしまう映画だった。ただ輪廻転生をリアルな恋愛映画に入れてるのって新鮮な面白さがあるから、そういう意味では万人におすすめできる映画だと思う。

全ての出会いや人間関係にはイニョン(運命)がある。
もしこの世界で好きな人がいてもその人と結ばれないのは
イニョンの関係ではないから。逆にいうと、この世界ではなく
来世や前世ではイニョンの関係であったかもしれない。

こんな会話が劇中登場するが、今作はこの会話だけではなく
イニョンを感じる部分が至る所にある。

例えば、パストライブスというタイトルは前世という意味である。
ラストシーンで言及される来世からみると
この作品で描かれているお話はある種前世のお話である。
だから、たとえこの世界で結ばれなくても
来世なら結ばれるかもしれない。
だからこそラストはすごくハッピーエンドに見える

あと12年おきに3つの時期が展開されるが
ほとんどそれぞれの時間軸が干渉しない。
まるで、それぞれ全く別の時代のように見えてくる。
だからこそ、輪廻転生をかんじたりイニョンを感じられる構成になってる。

あと文化の違いみたいなのを結構感じるシーンもあってそれも好きだった。ノラはソウルから出て何か大きなこと、アメリカンドリームを夢見て24年間外に出てたけど、同時に自分が韓国人だっていうアイデンティティが揺らぎ始めている。韓国人な部分とそうでない部分。
久々にあった際はちょっと久々の親友レベルのノリでハグを2回するけど、それはアメリカの文化に順応してるからだと思う。
逆に家の中でも靴を脱ぐのはアジアの文化っぽい。
そういう文化の行ったり来たりがあって、自分が何人か自信がなくなってる。そういうときに生粋の韓国育ちの初恋の相手が現れる。
彼女は子供の頃のその人は好きだったけど、今はそうじゃないという。
けど、自分が韓国人であることを思い出させてくれる感じがあって
もはや、彼は一人の人間というよりも彼女のアイデンティティを再認識させるソウル全体として現れているのがすごいなと思ったし、納得した。

出てくる人がみんないい人。
あのアメリカ人の人もいい。
やっぱ作家なだけあって着眼点が詩的。
夢の中の君は韓国語の部分いいなと思った。

あと、カメラワークも好き。
空港で人の動きをおう形で
文字がだんだんでてくる部分とか、
2人で初めて電車に乗る時とか電車のうねりで
ゆっくりとノラが現れる部分とかいいなと思った。

あとさりげなくまわりからどうみられているかとかも入ってるのが面白い。
冒頭の絶対に夫婦だと思われていた二人が夫婦じゃないとか。
ノラとヘソンが夫婦であることを、世界が望んでいるように描いていて
逆にアーサーとノラが夫婦であることがおかしいみたいな感じで
世間が見てくるこの感じがアーサーにとっては辛くもあり、
ノラとヘソンにとっては幸せなことだと思える。
ちなみにこの映画でエキストラとして写っているカップルは全て同じ国籍の人な気がしたけど
それは意図的な気がする。

音楽も良かったし、時間が100分と最近の映画の中では短めなのも良かった。

ノラが耐えれなくなって泣くのもよかった。
あれはアーサーごめんね、アーサーありがとう、ヘソンごめんね、ヘソンありがとう。
いろんな感情が入った涙なんだろうな。
mさん

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