三人という最小限度の人数でお話を進め、上映時間は106分という短さ。しかしショットや視線から濃厚に登場人物たちの心情を描き、情景の美しさを心に焼き付ける。そんな切なくもロマンティックな「縁」の映画。
言葉を、身体的接触を、過ごした時間の長さを、すべてを超えて誰かと親密になる瞬間があり、何らかの関りを持つことがある。この映画では「縁」イニョンという言葉でそれらが説明されている。つまり過去や未来における縁がいまに繋がっているということ。
ラストショットにおけるふたりが見つめ合うあの時間。最後に交わすハグ。固定された過去と、不確定な未来から、あの時ノラとヘソンは自由になったのだろう。ゆらぎを受け入れることで。
いまこの時に「収束した可能性」を抱きしめて生きること。それはとても幸福で、涙がでるほど悲しい。
